自己愛性人格障害(353) 人格障害と発達障害

以前、コメント欄で人格障害と発達障害で議論がなされた事があった。その時は少し荒れ気味だったので、いずれ発達障害の話題にも触れるので、その話題は一旦休止して欲しいとお願いした。ワシも人格障害から派生して、発達障害の事も勉強をしている最中である。まだ何かそれについて文章を書けるほど知識が血肉となっているわけではないが、少しづつ触れていきたいと思う。というのも、人格障害と発達障害とは似て非なるものであり、この二つを混同している偏見をどうしても避けたいという思いが強いからである。

発達障害の類型のひとつにアスペルガーという症状がある。人格障害と共に、ここ最近何かと話題に挙がる事が多く、言葉を目にした人も多いのではないだろうか。酒鬼薔薇聖斗の両親が書いた著書「少年A この子を生んで」の中に、たかがシャツのボタンのかけ方に拘泥する少年のエピソードがある。これをアスペルガーの症状であるという精神科医の見立てを読んだ事がある。このように普通の人から見れば他愛無い事でも、あるひとつの物事に集中して拘るという特徴がある。

ワシの大学の同期で小学校の教員をしている奴がいる。小学生も低学年だと相手の顔色を見るという意識が希薄で、「先生は怒ったぞ~!」と言葉で言わないと、怒っているのが伝わらないと言っていた。相手の顔色を見る事ができない、これは大人だとアスペルガーの症状として挙げられる。いわゆる空気を読めない、というものである。さらに言葉を度を過ぎて素直に受け取るという特徴が挙げられる。先生が「帰りは寄り道をせず、まっすぐ帰りなさい」と指導すると、冗談や嫌味や屁理屈ではなく、真顔で「角を曲がらないと家に帰れません」とアスペルガーの子供は答えるそうである。

ごめんなさい、発達障害に関しては、これからもっと勉強して、内容のあるトピックを書けるようにします。ただ何を書きたいかというと、人格障害と発達障害は全く異なるという点を強調したいのである。人格障害は対人関係において発揮されるが、発達障害は自己完結している、人格障害は生きてる価値のないクズだが、発達障害の人たちは、周囲の認識と対応で充分、普通に社会生活を営むことが出来るし、人間的にむしろ薄汚れたワシなんかより優れていると思っている。

発達障害は、少し普通の人と変わっているだけで、全く問題はない。
人格障害者のような連中と一緒にしてはいけない。
以下、ワシが実際に体験した光陰ふたつの例を挙げておく。

【エピソード1】
ワシの友人の息子さんはアスペルガーと診断されている。その子が突然ピアノを弾き出した。一度もレッスンを受けた事がなく、音楽的素養もないのに、見事にピアノを弾いている。一体どうしたことなのか。本人に確認してみると、ピアノを弾いている人を見て覚えたそうだ。つまり楽譜や理論は全く理解していないが、ピアノを実際に弾いている様子を見て、それをそっくり真似ているだけなのである。あまりに特殊な才能なので、ワシは何かこれがこの子の将来の職業に活かせないかと思っている。物事への拘りが強い余り、このような人智を超えた才能が潜在している可能性を感じたのである。

山下清は一度見た景色を写真のように脳裏に保存し、それを自由に出し入れ出来る才能を持っていた。旅先の風景を描写出来たのはこのような特殊な才能に依る。これは直観像記憶といって、記憶を映像で行なう能力だそうだ。例えば鳥が集団で羽ばたく場面を見た時に、ワシのような凡人は1羽、2羽と数えて、全部数え終わらないうちに飛び立ってしまうが、直観像記憶の持ち主は、その場面を記憶して、記憶の中の映像から何羽いたと後からゆっくり数える事が出来る。

【エピソード2】
アスペルガーの人は腹芸が苦手で、言葉を度を過ぎて素直に受け取るという特徴があると書いた。以前、ワシがブログで書いていた文面に怒り出した奴がいた。ワシは「一体、何が琴線に触れたのだろうか」と返答したところ、今度は「『琴線に触れる』は使い方が間違っている」と言い出した。もちろんこの場合は、理由はともかく相手が怒っているのだから「逆鱗に触れる」と書くのが正しい用法なのだろう。しかし「逆鱗に触れる」には、こちら側に非があるというニュアンスを含み、さらに「目上の人を怒らせた」という意味合いもある。なので慇懃無礼を意図してあえてワシは「琴線に触れる」を使ったのだが、彼は素直に言葉をそのまま受け取ったようだ。もしかして相撲部屋の「かわいがり」も本当にヨシヨシと可愛がっていると思っているのだろうか。それとも同じように「かわいがる」は使い方が間違っていると指摘するのだろうか。

ロッキード事件を回想して中曽根康弘は「田中君は石油取得外交をやったから、米国の琴線に触れたのではないか」と朝日新聞に寄稿している。東京大学法学部卒、元海軍主計少佐にして総理大臣の大勲位が、「琴線に触れた」の本来の用法を知らないはずがない。おそらくワシと同じ意図をもって「琴線に触れた」を使ったのだろう。このように新聞の寄稿で普通に使われているくらいだから、新聞が読める程度の一般的な読解力があれば抵抗なく読めたはずである。

*****

冒頭で書いたように、発達障害に関しては不勉強なので、今回はこの程度にして、いずれまた触れます。改めて強調しておきたいのは、人格障害と発達障害を混同しないで欲しいという点である。

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14 thoughts on “自己愛性人格障害(353) 人格障害と発達障害

  1. でらせるな より:

    つい今しがた
    扉の開いていない被害者さんの
    扉をこじ開けてやることに成功しました(笑
    敵の心無い仕打ちにキズついていたようだったので
    自己愛の特徴やら手口やら
    私の経験を交えて話したら
    なんだか視界が開けたようだ、と
    喜んで帰りました
    あらゆる事に合点がいった、と。
    だから、相手はキ●ガイなんだから
    こっちは傷つく価値もないから
    敵がイヂワルしてこようが
    親切にしてこようが
    心にこれっぽっちも気にかけてやる価値はないよ

  2. 匿名 より:

    いつも読ませて頂いております。
    コメントすることはいつもはないのですが。

    基本的にこちらに経済的ないし精神的危害は一切ない。むしろその純粋さに胸を打たれる
    これは…よく知らない人が言うことです。
    発達障害に関してこの発言は傷つく人が沢山います。

  3. せんち より:

    *** 匿名さん
    おっしゃる通りで、配慮が足らず申し訳ありませんでした。
    該当部分を削除させていただきます。

  4. たぬ より:

    絶縁した自己愛ママ友に 近々 同じ会合で顔を会わせなくてはならない。
    一日中 その事が頭から離れず 動悸がする。
    絶縁してから だいぶ時間がたったのにいまだに 新しい仲間を見つけては私の悪口を言って回っているらしい。
    今の私の状況を知るはずないので ネタ不足なのか最近では 新しく話を作ってデマを流している。
    しつこい。
    いつまで続くのか 気が遠くなる。

  5. nk より:

    発達障害の方が周囲の無理解から心を病み、人格障害へと移行していくケースもある、と心療内科の先生は言っておりました。
    職場でもアスペルガーの方がいらしたのですが、自分の非を認められない、嘘をつく、人を傷つける言葉を平気で言う、お客さんに命令して怒らせ、責任者が精神を病みました。
    一見、自己愛性人格障害とアスペルガーは良く似ているなと感じる時があります。

  6. せんち より:

    *** nkさん
    ワシは人格障害は否定的に捉えていますが、
    発達障害は肯定的に捉えていますので、
    ブログでもそのような論調を展開しようと考えています。
    しかし、コメントにあるような事もあるかと思います。
    対立する意見であっても遠慮なくお寄せください。

  7. より:

    せんちさん、ご無沙汰しております。
    数年前、何度かコメントさせて頂いた青と申します。
    私事ですが、アスペルガーではないのですが発達障害の疑いが強いと医師に告げられています。
    子供の頃から衝動的で空気が読めず、時間も守れず、周囲を不快にさせたり、迷惑をかけてばかりいました。
    そして、扉が開く前は本当に他人を疑う事を知らず、これまでの人生の大半は常に餌食だったように思います。
    nkさんのおっしゃる、
    >発達障害の方が周囲の無理解から心を病み、人格障害へと移行していくケース
    は、実際結構あると思います。私自身も時々、自分は人格障害だったのでは、もしくは移行中なのでは、と思う時があります。
    とはいえ、人格障害と発達障害を一括りにしている記事を目にすると、やはり明確に区別するべき点があると感じておりました。
    今回のような記事を書いて下さった事に感動しております。

  8. せんち より:

    *** 青さん
    ワシの意図はまさにそこにあります。
    人格障害と発達障害を一括りにしてはいけない、
    まったく異なるものであると強調しなければなりません。
    ですからブログでは発達障害を肯定的に論調を展開するつもりです。
    >扉が開く前は本当に他人を疑う事を知らず、
    >これまでの人生の大半は常に餌食だったように思います。
    そして人格障害のターゲットとして発達障害は親和性があり過ぎます。
    この事は、上手く表現できるかどうかわかりませんが、
    必ず触れなければいけない話題だと思っています。
    今回の記事の【エピソード2】は否定的な論調で書いていますが、
    元々この人物は人格障害が先にあり、しかも強度のそれであって、
    その流れの中でのエピソードとして類似性が認められるため採り上げました。
    実際は「発達障害の方が周囲の無理解から心を病み、人格障害へと移行していくケース」は、たまたまだと思います。
    原因は周囲の無理解であって、発達障害はそれを誘発した遠因でしかないと思っています。
    いずれ、まだ不勉強なので詳しく書けませんが、
    ■ 発達障害は人格障害と全く異なる
    ■ 発達障害を原因として人格障害には繋がらない。
    この2点は強調しないといけないと思っています。

  9. Nowhere Man より:

    うちの会社の同僚にアスペルガーと思われる人がいます、仮にAさんと呼びます、
    色々と普通の人とは違う特徴がありますが、それを列挙すると長くなるので割愛しますが、問題は大きいです。
    Aさんの一番の問題は納期を守れない事です、
    普通の人は納期から仕事を逆算して作業を進めますし、
    新たに短納期の仕事が入ると優先順位を変えてそちらから先にやりますが、
    Aさんの場合は仕事のルーチーンがきっちり決まっていて臨機応変な対応はできません。
    納期から逆算したり、今行っている仕事の途中に別の仕事を挟み込む事もできません、
    結局は一つの仕事が完結してからでしか次の仕事に移る事ができません、
    したがって納期はなりゆきしだいで納期遅延が多発します。
    私は自己愛に会ってしまって、あまりにおかしい言動行動について色々調べた時、
    アスペルガー症候群という障害を知りました、最初は自己愛をアスペルガーだと思ったくらいです、
    そして社内にアスペルガーの特徴を持つ人がいることに気が付きました、それがAさんです。
    Aさんは5年位前に部署を変わったのですが、
    その際、Aさんの上司になる人にAさんの特徴とアスペルガーの症状をメールで説明しました、
    でも上司の人は、Aさんは普通に知能があり日本語が通じるので指導しだいでなんとかなると思っていたようです、
    しかし予定どおり問題は多発し、どんなに指導しても改善は全くみられず、上司の方もこんなに酷いとは思ってもみなかったと言っております。
    今はAさんの仕事の全てを監視して問題が起きないようにしようとしているそうですが、
    Aさんはその情報を隠したり、嘘をついたりして未だに問題は発生しているようです、
    ただAさんには自己愛のような悪意は感じません。
    Aさんには山下清のような特殊能力があります、
    初めて教わった事をきっちり記憶するという能力です、
    一度教わった事は細かい事まできっちりと記憶していて、それがルーチーン化されています、
    なので同じ仕事を何度行っても、作業の効率化、仕事の確実性が向上する事はありません、
    ですから創造性を発揮する事もありません。
    さらに仕事にはAさん流のこだわりがあり、我々から見ると不要と思われる工程がなぜか沢山あり、
    そのせいもあって仕事の速度がものすごく遅い、だいたい何をやっても普通の人の3倍の時間がかかります、(なまけているわけではない)
    もちろん同じ仕事を何度やっても時間が早くなる事はありません。
    Aさんは某有名大学卒です、
    Aさんの特殊能力は受験勉強には最適です、
    彼を見ていると受験勉強ができる事と仕事ができる事とは随分と違うものなんだと感じます。
    最近、アスペルガー症候群という呼称が廃止され自閉症スペクトラムの一種ということになりました、
    Aさんを見ているとアスペルガーの特徴に相当する部分も多いのですが、そうでない部分もあり、
    アスペルガーと言っても良いのかどうか悩ましいと思っていました、
    でも自閉症である事は間違いないようなので自閉症スペクトラムという呼称の方が的確だと思います。
    自己愛の場合は、判で押したように同じような言動行動をしますが、
    発達障害は障害の程度にも差があり特徴も個人差があるようなので、
    自閉症スペクトラムという呼称の方が正しいように思います。

  10. せんち より:

    *** Nowhere Manさん
    いやぁ、状況が目に浮かぶようです。
    >Aさんはその情報を隠したり、
    >嘘をついたりして未だに問題は発生しているようです、
    >ただAさんには自己愛のような悪意は感じません。
    叱られてばかりいるので、萎縮しているのでしょう。
    もちろんいけないことですが、
    前にちょっと強く叱り過ぎた部分もあったのではないでしょうか。
    そういった点も含めて、
    周囲がうまく「特殊な能力」の部分を発揮できる環境にしてあげれば、
    とても有能な社員になるのではと思うのです。

  11. Nowhere Man より:

    Aさんの現在の上司はかなりの強面で、
    現実に豊田真由子並みに怒って怒鳴りつけたけど全く効果がないよ~、
    と上司本人が言っていました。
    アスペルガーの項目をネットで調べると、
    アスペルガーの人に対してはそういうものとして理解して周りの人達のフォローが必要、と書いてあります、
    そういう意味でも発達障害に対する知識と理解が必要だと思います、
    なので私はAさんの上司に彼の症状をメールで教えたつもりですが、私の意図がちゃんと伝わっているかどうかは疑問です。
    私は以前、Aさんと10年位同じ部署にいたのでAさんの異常性とそれが全く変わらない事は経験していました、
    その頃は発達障害なんてものは全く知らず、知能があって日本語が通じるのに話の通じない変な性格の人がいるんだなあ、と思っていました。
    その頃のAさんは10年間毎日遅刻していました、(今は定時出社)
    毎日遅刻して仕事は遅いしトラブルだらけ、それでなんでクビにならないのか不思議でしたが、
    彼に悪気がないのはわかりました、
    でも周りは大混乱です。(笑)
    会社側が発達障害というものを良く理解していれば、
    Aさんのできることできないことを理解して、彼をうまく使う事もできるのかもしれません、
    そんな意味でも発達障害に対する正しい知識と理解は必要だと思います。

  12. より:

    >人格障害のターゲットとして発達障害は親和性があり過ぎ
    私も同感です。人格障害者に出会ってしまった発達障害者は、本当に不幸だと思います。
    人格障害者は他人の良さを認められないので他人の長所を活かせません。私の場合は上司がそれでしたが、部下がどんなに光るものを持っていても認めないどころか潰しにかかるのが常でした。
    また、人格障害者は何か1つ指摘されただけで全人格を否定された気分になると言います。
    即ち欠点だらけの発達障害者は全人格を否定して良い存在という事にでもなるのでしょうか、とにかく彼等の優越感を満たすのに適した存在と言えると思います。
    それと、これは私の持論なのですが、人格障害と発達障害の大きな違いのひとつに対人操作の有無があると思っています。
    こればかりは発達障害の不器用な脳ではとても真似出来ない芸当と感じます。

  13. さまんさ より:

    こんにちは。コメント失礼します。
    発達障害の疑いが強いとカウンセラーから指摘された夫を持つものです。Aさんの話は読んでいて脳裏に状況が浮かぶようです。発達障害といっても、様態は様々で一括りに話はできないと感じていますが、障害について当事者と周囲どちらかが無自覚だと、アレキシミア等で周囲がより大きいダメージを受ける点は同じかなとも思っております。
    私の夫の母親、どうも境界か自己愛か…人格障害臭が(笑)します。結婚は大ハズレクジでした。夫と姑を見ていて思ったのですが、絶対服従している間は親和性が高いというか、いいカモです。ところが、相手が自分の世界を荒らしたり、関係を持たなくていい人と判断した場合、自己にこもって相手をシャットアウトします。相手とのエネルギー交流が絶縁する感じといいますか、発達障害特有の無視は、じわじわと人格障害を半狂乱までダメージを与えるみたいです。ある意味で、発達障害って撃退兵器だと思いました。

  14. エア より:

    私が関わった自己愛も、発達障害の無理解から人格障害に移行したタイプでした。だからと言って、批判に反発して、イエスマンしか受け入れないというのはどうかと思いますけどね。
    悪気が無くても、発達障害から被害を受けている人からすれば、「悪気が無いからこそ、余計面倒なのよ」と言いたくなると思います。
    こちらのサイトもご覧下さい。
    泰斗のトランス的第六感(※発達障害から被害を受けた人のブログです)
    https://ameblo.jp/ftmtight/

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