自己愛性人格障害(264) 言いやすいほう その1

元小結板井圭介の著書「中盆」は、
相撲界における注射(八百長)互助会の内幕を綴った世紀の奇書である。
そんな板井が、人格、品格ともに素晴らしいと絶賛しているのが貴ノ花親方である。

貴ノ花は現役時代に八百長は一切せず、
そのため稽古などで「かわいがり」をされたり、
支度部屋で孤立していたことも、後にわかっている。
それでも八百長に手を染めずガチンコで通した貴乃花のことを、
廃業したロシア出身の露鵬も「心の強い人。サムライ」と絶賛している。

その貴ノ花親方と、お兄ちゃんの若ノ花兄弟が不仲なのは有名だ。
かつて90年代は理想の家族、理想の兄弟と言われながらも、
今は父親の死を境に完全にバラバラになってしまっている。

個人的にも、若貴の話を聞くと自分に投影して嫌な気分になる。
そして不思議なのは、対立の構図が「貴ノ花」vs「若ノ花&母親」となっている点である。
兄弟の仲悪いのは理解できる。多分、ボクは他人より深く理解できる。

しかし貴ノ花と母親との間には何があったのだろう。
貴ノ花と母親との間にも確執があり、今でも連絡を一切とっていないそうだ。

*****

貴ノ花と母親みたいに、親子の関係が悪い人たちがいる。
さあ、そうした場合、なんと声をかけるか。

「たった一人の親なのよ」
「子供のことが可愛くない親なんていないのよ」
「あなたも親になってみればわかるわよ」

一般的に、このような言葉を想像するのではないだろうか。
実際に毒親を持つボクの友人は、一番腹立つ言葉としてこれらを挙げている。
まったく同感である。
ボクも何度同じことを言われたか。
「たった一人の血の繋がった兄弟なんだぞ」と。

まあ、いいさ。
まったく人格障害を知らない人たちは、
無神経に、知ったかぶりでこういう事を言いたがるものだ。

しかし、ここで根本からボクは疑問に感じる。
上記の言葉はすべて子供に、兄に向けての言葉なのである。

不仲の親子は子に、不仲の兄弟だと兄に説教をしたがる。
ほぼ例外なく「この方向」である。
常に、親子不仲は子供のせい、兄弟不仲は兄のせい、という前提になっている。
逆の側に原因があると思わないのだろうか。

思えば不思議な先入観だ。

*****

上記のように、貴ノ花がお兄さんのみならず母親とも疎遠になっているという話題で、
ワイドショーで室井佑月が、このような事を述べたそうである。

「お母さんとまったく連絡がとれていないなんて、貴乃花親方のほうが可哀想だよ」

このような事を言う人がいるなんて驚く。
親子不仲で、親と連絡とれない息子こそ可哀想だというのである。
安堵の言葉だなあ。
室井さん、ありがとう。

参考ブログ Bon voyage!

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9 thoughts on “自己愛性人格障害(264) 言いやすいほう その1

  1. くま より:

    久しぶりにせんちさんの言葉が聞けて、とても嬉しく思います。
    兄弟なんだから
    長男なんだから
    広い心で
    話せば分かり合える
    私もウンザリです
    その手の責任のない言葉を聞くとウンザリします
    子供が可愛くない親はいない❓訴えても訴えても、こちらの方が余計に悪く思われる。響かない。都合のいい時だけ長男と言われるのに❓
    せんちさん、逃げたくなります。でも、その逃げ道さえわからないです。

  2. せんち より:

    *** くまさん
    時間を経て、親戚一同が鬼籍に入り、
    自分が親類間で最高齢になるとき、
    やっと穏やかな日々が訪れる。
    時を経る、それ自体が逃げ道であると思うしかないです。ボクは。

  3. くま より:

    やはりそうでしか逃げ道などないのでしょうね。
    時を経る
    理解を得ようなどと
    わかってもらえるなどと
    思ってしまったから、余計に傷ついた。
    倍になってかえってきた。
    もう、期待すまい、理解を得ようなどと思うまい。その都度そう思うのですけれどね。
    じっと、時が経つのを待ちます
    せんちさん、ありがとうございます
    心が壊れかけていました
    少し落ち着きました

  4. せんち より:

    今の心境としては、
    冠婚葬祭など全て終わり、疎遠になりたい、
    無用な付き合いはしなくてよくなりたい、
    そのためには時を経るしかないと思っています。
    少なくとも、両親には理解を求めることなど諦めています。
    このまま真相を知らずに一生を終えることになるでしょう。

  5. くま より:

    疎遠になりたい
    無用な付き合いなどしなくてよくなりたい
    全く、せんちさんと同じ心境でいます。
    理解される日など、来ないと思って過ごすしかないのなら、せめて早く付き合わなくてよくなる日が来ないかと、そう思います。
    切ないですね。家族だからこそ。

  6. SARA より:

    せんちさん、こんにちわ。
    お忙しいにも関わらず 記事のアップ、ありがとうございます。
    「家族だから」「親兄弟だから」なんてフレーズ、もう聞きたくないです。
    それを言う人は相手がそんな事も分かっていないと思っているのでしょうか。
    「家族だから」「親兄弟だから」と言う思いでやってきた結果、
    裏切られ、利用され、無理難題を押しつけられて
    苦しんでいたというのを分かって欲しいです。
    今の自分はその言葉をそっくり自分の母や兄に投げつけたいくらいです。
    でも自己愛達にはその意味を情で汲むことなど出来ないでしょうね。
    家族内のタゲも自分の欲求を満たせるかどうか、それが彼らの唯一の価値基準で、
    そうじゃなかったら家族じゃないと、あっさり思える輩です。
    >冠婚葬祭など全て終わり、疎遠になりたい、
    >無用な付き合いはしなくてよくなりたい、
    >そのためには時を経るしかないと思っています。
    年齢を重ねると、親兄弟とは言え、誰が先に逝ってもおかしくない、
    なんて思うようになりました(^^;
    どちらかの死でもって、解決するなんて悲しいことですが、
    日々そんな事を思っていると生きているのが虚しくなりますね。
    出来るだけ自分の意識の中から自己愛者を消して、
    自分が信じられる人間関係を築いて大事にしていきたいものです。
    しかし、
    冠婚葬祭・介護・相続・・・と、
    血縁ならば関わらずにはいられない事柄もあり・・・、本当に厄介です。
    > ——————————-
    話は全然違いますが、
    「殉愛」と「絶歌」の装丁、何だか似ていますね。
    白ベースのカバーがブラックな内容を包んでる?・・・(^^;

  7. はな より:

    ご無沙汰しております。
    会社でも同じですよね。
    友人の経営者に自己愛のことを相談しても、経営者側に問題があるから、社員が反発するんだよ。辞めさせて新しい社員を入れても同じことの繰り返しただよ。。
    と何度も諭されました。
    やはり、経験しないと理解できないのが自己愛であり、未経験者の想像の範囲外の行動をするのが自己愛なのだと思います。
    経験者と未経験者も理解し合えないのでしょうね。

  8. せんち より:

    *** SARAさん
    「今の自分はその言葉をそっくり自分の母や兄に投げつけたいくらいです。」
    ボクがこの項で言いたかったことはここです。
    どうして一方にだけ向けて言うのか。それが不思議なんです。
    結論は結局、その人のために言っているのではなく、
    言う人自身のために言っているから、ということだと思っています。
    「戦争反対」と同じで、反論の余地がない、
    一般論で絶対正しいことを、
    ただ自分の意見のふりをして言っているに過ぎません。
    戦争なんか皆、反対に決まっている。
    ただ現実的に戦争がある、周辺国からの脅威がある、
    だから、そこをスタートラインに話をしないといけない。
    そういう現実を無視して「戦争反対」を唱える奴は、
    自分が良い事を言っているという自己陶酔をしているに過ぎません。
    たったひとりの親だなんだと言う連中も、
    同じ心理であって、単に自分は良い事を言っている、
    誰もが否定できない極一般論を自分の意見を装って言っているに過ぎません。

  9. せんち より:

    *** はなさん
    ブラック企業という言葉が巷間言われますが、
    ブラック社員という者も大勢います。
    マスコミはこの点も大きく採り上げるべきではと思っています。
    どこに行っても、いかにサボって給料をもらうか、
    そんなことばかり考えてる奴が多過ぎる。

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