自己愛性人格障害(198) 裏言葉 その4

人格障害者ウッキーの話を書こうと思ったけれど、ふと思い出したエピソードがあるので、それをまず紹介したい。

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ワシの婆ちゃんは70年以上のキャリアを持つ和裁師だった。呉服屋さんから依頼されて着物を縫う仕事を、80半ば過ぎまでやっていた。ワシの宝物は、婆ちゃんに縫ってもらった浴衣である。ワシの伯母さんが成人式の時に着た着物もまた、婆ちゃんの作品である。その着物を伯母さんの娘が成人式に着て、さらにそのお孫さんも成人式に着用。親、子、孫の、三代の成人式の写真が、皆、同じ着物なのだ。すげえ。

そんなワシの婆ちゃんが専属となっていた呉服屋さんは、古くから続いている歴史ある呉服問屋さんで、昔ながらの家長制度的なものが残っていた。序列で言うと、そこのバアさんが一番偉く、息子夫婦が店を手伝っている。そして、お嫁さんは立場的に最も低い。

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田舎者の大好きな話題のひとつに「学歴」がある。どこそこの誰それがどこの大学に行ったとか、ナントカ高校だとか、狭い町で、年寄りが集まればそんな話題ばかりしている。ワシの出身高校は、少し前に必須科目の未履修問題でニュースになった高岡南高校である。全国ネットのテレビに、なにやら見慣れた校舎が映ってて、びっくり! 実はワシも単位が足りないのではないか(笑)そして、前述の呉服屋さんには、ワシより2学年下で、同じ高校の男の子がいた。ちょうど受験に失敗して浪人するということだった。

実家に帰省したとき、ワシと母とふたりで、婆ちゃんのお使いで、その呉服屋に行ったことがある。呉服屋のバアさんがワシの顔を見て大喜び。

「あら~せんちさん、生徒会長やってらしたのよね~」
「国立大学に行ってらっしゃるんでしょ~すごいわ~」
「ウチの孫なんか全然勉強しなくて~」

言っておくが、国立大学ったって、いわゆる駅弁大学である。それも一浪して何とか滑り込んだようなものだ。ワシは、この時の状況を克明に覚えている。このバアさんの後ろで、息子夫婦が黙って下を向いて着物を畳んでいたのである。奥さんの顔をチラと見ると、無表情で淡々と作業をしている。このバアさん、実はワシのことなんかどうでもよいのである。単に嫁さんに当てつけを言いたいのだ。

お嫁さんはお姑さんに逆らうことが出来ない。そして息子は嫁さんを庇うと母を否定する事になるし、かといって母に同調すると嫁さんに追い打ちをかけることになる。結局、黙って聞かぬふりをするしかないのだろう。ワシのことを言っているようで、実はお嫁さんにイヤミを言っているのである。

呉服屋さんの帰りワシも母も呉服屋のバアさんに対し怒っていた。あのバアさん、両親の目の前で、アンタらの息子はバカだと言っているようなものじゃないか。まったくバアさんの神経がわからん!という話をしながら帰路についた。

(続く)

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8 thoughts on “自己愛性人格障害(198) 裏言葉 その4

  1. ひよこ より:

    せんちさん、ありがとうございます。
    まさにこの手の自己愛姑と毎日関わっています!
    嫁はともかく、自分の息子や孫にまでひとかけらの愛情もないのです。
    こんな人がいるのだと理解するまでに時間がかかりましたが、今ではこのはこの人の姿をしたモンスターから自分の身を守るべく少しも油断できない日々です。言うことすべてに裏言葉を読み取ろうとする様になりました。人を信じることが出来ない人間になった様で自分が嫌になりますが、私は自己愛者に絶対負けたくないので戦っています。
    親しい友達に話しても「人格障害」と言っただけで引かれるのを感じます。「障害」という言葉が医者に診断してもらったわけでもないのに身体障害者呼ばわりしているように感じられるみたいで、いくらなんでもそこまで言うなんてと思われていることが伝わって来ます。
    知らない人に理解してもらうことは無理なのだと思いました。

  2. アリ より:

    植物を育てる時は、日光と水と、あとは肥沃な土地のバランスが取れて、良く成長ができるんでしょうか。
    人間もそうだと思います。
    だけれども、何か不足したとしても、人間の方が進歩するかもしれない。言葉で教訓を分かち合える事も人間にはできると思います。
    今だから、足りない者の気持ちが分かります。

  3. せんち より:

    *** ひよこさん
    そんなクソババアも、近い将来、嫁の世話になるときがくる。
    そして、どういう生き方をしていたかで、
    その人の人生の評価を受けることになる。
    美智子さまが皇后陛下になられた時、
    ボクは美智子さまの生き方が報われたと嬉しく思いました。
    *** アリさん
    ボクは足りない人の気持ちもわからないでもないのですが、
    足りないからといって他に矛先を向ける人の気持ちがわかりません。
    ボクも含め、何か足りない人なんか大勢いらっしゃいます。
    何か足りない人生で、それを卑下するか糧とするかで人生が試されます。
    人はそれを克服して生きていかねばなりません。
    hoshino

  4. アリ より:

    抽象的な文章や絵は、各々の人に感想が変わります。
    せんちさんの文章には前向きな強さが表れていますね。

  5. 乙女座の音楽家 より:

    過去記事を読み返していました。
    実母も、自分と同じ長女である私を頻繁に卑下する人でした。しかも物心着く頃から。だからそれが当たり前と思っていて、私が悪いのだから母の言葉に傷つくのはおかしいとずっと思い込んでいたのです。
    そのため幼い頃からアラフォーとなる今でも低い自尊心に苦しみ、実妹をはじめ自己愛どもの餌食になり続けていたのでした。
    アラサーになってようやく、母は罪の無い私にルサンチマンを向けていたんだ、と気づく出来事がありました。
    結婚が決まり、両家の初の顔合わせの席でも私を卑下する事をいくつか口にしたのです。
    義両親となる人の前で恥ずかしい思いをさせられ、雰囲気を壊したくなくて黙って俯くだけでした。
    義両親が「彼女のお母さんは、家の息子が生涯の伴侶として選んだ娘は欠陥品とでも言いたいのか。不愉快だった。彼女もかわいそうだ。」と、夫に話したのだそうです。
    私はおかしくない、おかしいのは母と同調する父だと認識し、目が覚める思いでした。
    その後許せないと思うことがいろいろあり程なくして、実の両親とはほぼ絶縁することに。(義両親とは良好です。)
    すくなくとも実母は謙遜と本気で思っていましたし、そのおばあさんも同じかもしれません。
    しかし相手が大きなダメージを受けるタイミング、逃れられなくて抗議できないタイミングは絶対に逃しません。
    抗議したら、被害者ぶります。
    自覚がないですから、厄介。
    そしてここまで書いて今気付いた、実母も自己愛だったんだと。

  6. せんち より:

    *** 乙女座の音楽家さん
    人格障害者ウッキーなり、たかじん嫁なり、
    人格障害者どもを見て感じるのは、強烈なコンプレックスです。
    そうありたい自分になれず、努力せず他人を羨む、
    それがまさにルサンチマンとなり蓄積していく。
    それが耐えられず人格障害者的言動となり発露される。
    >義両親が「彼女のお母さんは、家の息子が生涯の伴侶として選んだ娘は欠陥品とでも言いたいのか。
    >不愉快だった。彼女もかわいそうだ。」と、
    >夫に話したのだそうです。
    これは謙遜とはまた似て非なるもので、
    なぜそういう言動に出るかと言うと、人格障害者だからです。
    自己愛性人格障害(198) 裏言葉 その4
    ここで書いたエピソードでは、
    バアさんが謙遜を装い両親の前で孫の悪口を言う様子を書きました。
    ボクは持ち上げられた側ですが、
    それでも「まるで自分の孫が欠陥品であるかのような物言い」に、
    ボクと母親は不愉快でした。両親がかわいそうでした。

  7. corococo より:

    義実家で、コレっぽいのを、よーくやられてたんです。
    私の出身大学の卒業者より、どこそこ大の方が就職に有利だとか、
    近所の誰それさんは、センター試験で何点取れてたとか、、、(センター試験って!)
    意味不明な上に、(強気でお恥ずかしいのですが)引合いに出される対象さんに、全然負けてなかったので
    何のことかサッパリ分からずテキトーに流してたので、だんだん回数は減りましたけども、
    ボチボチ子どもの方に攻撃対象が移ってきてたところで縁を切ったので、被害が小さくて済みました。
    前の記事のコメントの中にあったのですが、
    そういうつもりで言ってないのに、受け取り方が悪い。も、必ず言われましたね。。。
    就職に有利な学校の話も、
    私の出身大だと意識しないで、ただ単に一般論として引合いに出しているような口ぶりでした。
    が、必ず比較されたらいい気はしないし、普通おかしいんですけどね。
    東大ではないのだし。
    モーレツなコンプレックスがそう言わせるだけなんでしょうけど、無駄な僻みを聞かされただけの無駄な時間を返してほしい。

  8. せんち より:

    *** corococoさん
    ボクもセンター試験世代です(笑)
    学歴に拘泥するのは学歴にコンプレックスを持っている人ではないか。
    ボクの友人では、東大もいれば高卒もいる。
    一番の出世頭は東大大学院出て理化学研究所を経て、
    最年少で大学教授やってる。
    だけど、当たり前だけど、仲間内の付き合いの中では、
    そんなの全く意識したことない。
    ボクに関して言えば、今の自分を考えると、
    中卒でさっさと独立すればよかったと思ってるくらい(笑)
    まさにコンプレックスが僻みを産み、妬みを産み、
    それを抱えていない人たちから見れば、
    何をそんなに意識してんの?ってな感じです。
    他人と比較してどうとか、思ったことないけどな。

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